税額控除の寄付税制において自己負担がゼロになるのと同じで、まことにおかしなことだ。
日本社会では、寄付の実質的な負担を、寄付者以外の人が負うのである。
「ふるさと納税」の場合には他の納税者が。
企業の寄付の場合には株主や製品購入者が。
日本の寄付税制は不十分であり、アメリカ並みの充実が必要と言われる。
そうした議論に一定の意味があることは事実だが、これまで述べた日本の寄付の実態を考えると、無条件で賛成するわけにはゆかない。
ついでに言えば、寄付と同じことが「ボランティア活動」についても言える。
本来は自己犠牲によって行なう活動のはずである。
「有料ボランティア」という制度があるし、ボランティア活動が大学の単位として認められる場合もある。
こうしたことが普通になれば、人びとはボランティア活動で報酬や単位を得るのを当然と考えるようになり、自己犠牲の精神など忘れてしまうだろう。
自己犠牲を伴わぬ行為が、「寄付」とか「ボランティア」という仮面をつけて、堂々と歩き回っている。
そうした社会は、唾棄すべきものだ。
日本は、基本的な道徳観が崩壊した社会になったと考えざるをえない。
そうした社会だからこそ、「ふるさと納税」のような奇策が受け入れられたのだろう。
2008年度税制改革の1つの焦点であった法人税の問題は、次のように決着した。
すなわち、法人事業税の半分程度(約2.6兆円)を「地方法人特別税」(国税)にする。
課税対象企業や税率は、事業税と変えない。
この税収を、人口や従業員数などに応じて自治体に再配分する。
この問題が議論されてきた背景には、地方税における格差の拡大がある。
まず、法人の事業所が地域的に偏在しているため、事業税収入には格差がある。
実際、2006年度の事業税収入5兆2331億円のうち、約4分の1は東京都の税収だった。
また、地方交付税は、年々減っている(この3年間で約5兆円の減少)。
このため、財政的に逼迫する地方公共団体が増えた。
なお、今回の決定では「新しい国税をつくる」とされているが、事業税を減らして同額の国税新設し、しかも税の構造は変えないのだから、実質的には事業税配分の見直し以外の何でもない。
地方税の配分を国が調整するのでは形式的な問題があるため、「国税」としている。
いま1つの背景は、政治的な事情だ。
2007年7月の参議院選挙において、Jは1人区で大敗した。
その原因として、都市と地方との「格差」の拡大が指摘された。
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